【ドクター、教えて!】アレルギーって何者? 実は知らない「免疫監査」のメカニズム

 

アレルギーって何者?実は知らない「免疫監査」のメカニズム 

 

①健康な身体づくりにおける「食べ物」の重要性

健康な身体づくりには食べ物が大きく関わっています。日々、どんなものを食べているかによって身体が変わります。
例えば、私達の身体はタンパク質で出来ていますが、タンパク質が不足してしまうと、肌が荒れてしまい、髪の毛のツヤが無くなることがあります。だからと言って、ただタンパク質を摂ればいいというわけではありません。
例えばタンパク質の中には動物性、植物性があり、動物性が多いと腸内環境が低下します。つまり、「何をどのように食べるか」がとても大切になってきます。ポイントとしては「偏り無く、満遍なく、バランス良く」食べることです。ご飯や麺などの炭水化物、お野菜や果物の食物繊維やビタミン類、そしてタンパク質をしっかりと組み合わせることがとても大切です。
バランスの摂れた食事こそが健康な身体づくりの基本であることを忘れないでくださいね!


②友利先生ご自身の食品の選び方、選び方のポイント

私自身は、普段、あまり加工のないものを選んで、食べるようにしています。加工食品の中には、美味しものや便利なものがたくさんありますが、加工するにあたっていろんな過程を踏んでいます。
もちろん全ての加工食品が悪いわけではありませんが、できる限りナチュラルなもの、何から出来ているのかがわかる素材、例えば「このお豆腐の原料はどんな大豆なのか」「このブロック肉はどんなお肉から出来ているのか」などがわかる食材を選んでいます。もちろん常に100%出来ているわけではなく、外食したり、デパートやスーパーでお惣菜等買ったりすることもあります。だからこそ、家で食事をするときには、できる限り原材料や産地がわかるものを選ぶように心がけています。


③食物アレルギーはなぜ起こるのか

これはとても難しい質問になります。
食物アレルギーというのは、摂取した食べ物から身体を守るため、異物を排除するという免疫機能が過剰に働いてしまい、蕁麻疹や、時にはアナフィラキシーショックというものを引き起こす現象を言います。
ではなぜ、本来私達の身体に異物ではない食事(食べ物)なのに、「アレルギーが起こるのか?」「何がアレルゲンになるか?」その答えは、未だ解明されていません。
ただ、一つ言われているのは、私達の腸には免疫監査というものがあり、初めて食べる物すべてにアレルギー反応を起こしていたら臓器として機能しなくなるため、たとえ初めての物質だとしても「これは食べ物だ」と感じる監査機能がちゃんと備わっています。
しかしながら、例えば離乳食が始まる前に、お肌から新しい物質を受け入れてしまうと、これは異物だと身体が覚えてしまうことがあります。お肌というのは最前線で異物から身体を守ってくれる場所なのです。
先程お話した通り、新しい物質が腸や胃から入ってきたら、「これは異物じゃないです」という免疫監査が働きますが、肌から入ってしまうとその監査機能が無いため、異物排除の免疫機能が過剰に働いてしまうことがあります。
最近のデータでは、食物アレルギーは、離乳食前の肌の状態がすごく影響するということがわかってきています。ただ、これも100%ではないため、「食物アレルギーがなぜ起こるか?」というのは、未だ完全には解明されていないことになります。


④妊娠準備中、妊娠中におすすめの食品と食生活で気をつけるべきことはありますが?

最近は、お子さんにアレルギーが多いという方が多いので、例えば、「妊娠中に避けたほうが良い食べ物はありますか?」「授乳期間中に食べないほうが良いものはありますか?」ということを聞かれますが、妊娠中・授乳期間中に食べないほうが良い物というのは、全くありません。
たとえ、お子さんが牛乳アレルギー、卵アレルギー、小麦アレルギーだったとしても、これはお母さんが何かを食べ過ぎたとか、身体に良くないことをした、ということとは一切因果関係が無いということがわかっています。
ですので、もちろん偏った食事はいけませんが、バランス良く満遍なく食べることが大切で、ある特定の食べ物、例えばアレルゲンの多い卵や小麦、乳製品を避ける必要性はまったくありません。
万が一お子様にアレルギーが起こったとしても、お母さんの食生活は関係ありませんので、アレルギーを予防しようと思って食事を制限をする必要は一切ありません。


⑤子どものスキンケアについて

私達のお肌というのは大きな袋のようなもので、外からの刺激から守ってくれる一番最前線の免疫機能といえます。
実は赤ちゃんが生まれてから3ヶ月目くらい迄は、お母さんのホルモンの影響で、皮脂の分泌も多いのですが、その後は、お子様の皮脂分泌はすごく少なくなっていきます。思春期になって性ホルモンが出てくるまでは、皮脂分泌が活発ではないので、実はものすごく乾燥しています。
先程、皮膚は大きな袋だと言いましたが、袋が乾燥しているとボロボロになり、擦れて穴が開いてしまうように、皮膚も乾燥すると一番重要な機能であるバリア機能にほころびが出てしまい、そこからアレルギー物質が身体の中に入っていきます。ですから、乾燥を防ぐということが、アレルギー対策には必須となります。
ですが、日本には赤ちゃんを「洗う」という文化はあっても、「保湿」をするという文化があまりありませんでした。ようやく最近の研究で、2014年にアトピーのハイリスク群、つまりお母さんやご家族にアトピーの方がいらっしゃるというようなアトピー発症要素を多く持った赤ちゃんを集めて、保湿をした群と保湿をしない群でアトピーの発症率を計測したところ、保湿をした群のほうが発症を防げたというデータが出ました。ですので、沐浴のあと、しっかりと保湿をして肌のバリア機能を整えてあげるということがとても大切です。
先程も申し上げたように、思春期になって性ホルモンが分泌されるまでは、皮脂分泌が低く乾燥状態にあります。ですので、思春期や第二次成長が始まるまでは、しっかりと保湿をしてあげることがとても大切です。
赤ちゃんやお子様が身体を洗う、顔を洗ったら、必ず保湿までをワンセットとして考えて頂ければと思います。



友利 新  医師(内科・皮膚科)

沖縄県宮古島出身。東京女子医科大学卒業。同大学病院の内科勤務を経て皮膚科へ転科。
現在、都内のクリニックに勤務の傍ら医師という立場から美容と健康を医療として追求し、美しく生きる為の啓蒙活動を雑誌・TVなどで展開中。
2014年の出産を機に安心安全なベビースキンケア商品を欲し、「ベビー予防スキンケア」というコンセプトで自ら研究開発、商品化、そして起業し、医師、母、社長、と多忙な毎日を送っている。
2004年第36回準ミス日本。
2016年第9回ベストマザー賞【経済部門】受賞。
子育て応援・ママ応援大使。二児の母。美と健康に関する著書も多数。


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